投票日に家でゴキブリ見つけたから甲子園の動画見ることにした
朝7:30に目が覚めた。
窓から差し込む光に目を細めながら、僕は携帯に手を伸ばす。
Facebookを開くと、サークルの友人からメッセージが届いていた。
「今日は参議院選挙の投票日か」
友人にメッセージを返しながら、Facebookのフィードを眺める。
恥かしながら、今回の選挙における自分の意見は皆無だった。
Facebookでみんなの意見を眺めてるだけの自分の嫌気がさして、僕は池上さんに助けを求めることにした。
本書は「中国ではなぜ暴動が起きるのか」という見出しから始まっており、その理由こそが民主的な選挙がないからという訳だ。
池上さんでもあっても、僕の興味を1時間と惹きつけることはできなかった。
気がつくと僕はすでに別の本を購入していた。
先日読み終えた「虐殺器官」と同じ著者の作品であり、近未来の世界を描いたSF作品である。
映画も公開されているらしい。
【微グロにつき閲覧注意】
僕は21世紀後半の世界を片手に、海へと向かった。
小説を読んでいる時の、あの異世界を生きてる感覚が好きだった。
1時間ほど経っただろうか。
あまりの暑さに耐え切れなくなり、昼飯を食べて家に帰ることにした。
平凡な日曜日。
しかし、その幸福感は2匹のゴキブリによって引き裂かれた。
家に入ると玄関に1匹、自分の部屋に1匹、すでに息絶えたゴキブリが仰向けになっていた。
無数に存在する虫の中で、あれほど人間から嫌われている虫は存在しないだろう。
もちろん僕も例外ではなかった。
海の帰りにK-Martで買った新品のトイレットペーパーを開け、優しくそっと包み込む。
2匹のゴキブリの処理を終えた。
気分は最悪だ。
「このままだとせっかくの日曜日がゴキブリのせいで台無しにされてしまう」
僕はシャワーを浴びて、Youtubeを開いた。
「甲子園 ダイジェスト」
気分が落ち込んだ時は、必ず高校球児の頃の自分を思い出すようにしている。
高校時代の思い出は、色褪せるどころか、年を重ねるごとにその輝きを増していった。
思い出は美化される。
まさにその通りだった。
甲子園の動画が消されない限り、僕はどこまでも頑張れそうな気がした。